世界の色

世界には色があるんだって知りたい 

淡い青も眩しい白も

鮮烈な赤も煌めく黄色も

深い緑も底が見えないような黒も 


いつの間にか濁って灰色になってしまった私の水晶体でも 

世界の色が見えるって自信を持って言えたら


 訪れる最後を胸を張って迎えられるだろう 

だろうか


世界の全てを愛おしく感じたい 

砂浜のキラキラした粒 

薄く光を湛えた水面 

寂れたプラネタリウムの単調な機械音 

時代に取り残されたような小さなレストラン

 看板に擦れた字 

でも都会の中にも美しさはある 

初夏、緩く雨が降ったあとの空気 

そんな深夜に出歩くと

暗闇に立ち込める矛盾した感情


それだけ感じられたならそれ以上は要らない

 出来るなら感覚が一番鋭敏な今の時期に 

心から満たされるほどそれを感じたい 

だってこれから60年生きたとして 

過ごす時間はどんどん薄く引き伸ばされていくんだから 

時間は主観的な概念だから 

人間は根源的に時間的存在者なのだから