ピアノの音

ピアノの音が好き

ピアノの音はとても美しく物悲しい

誰も訪れないウェブサイトを尋ねる時のように

人は孤独から逃げられないことをはっきりとわからせてくれる

 

自分の感覚も肉体もないまま、ただ意識だけが暗い棺桶のなかに閉じ込められている

ふと、人間の本質とはそういうものだと思ったりする

そうした棺桶がきっと人の数だけあって

でもその闇の中では生きていけないから、人は自分に麻酔をかける

夢を見る

 

人と繋がれること

愛し、愛されているということ

社会的な成功を手に入れること

前に向かって歩いていること

自分の存在意義があるということ

自分が不幸だということ

自分が幸福だということ

 

それら全ては永遠の孤独の中に眠る”私”の思い込みだろう

アドラーが言うように、自己卑下や猜疑心も思い込みというのなら

こうしたプラスの感情も感覚もまた思い込みでしかないのだろう

 

虚無主義はどうしても乗り越えられない

望みも期待も罪である

何を望んでも、期待をしてもそれは報われない

世界は自分の世界であり、人は人の世界を生きているので

世界にも他人にも自分の理想像を押し付けているだけ

 

でも

もしもその棺の中に、優しいピアノの音が流れていればなぁと

また期待してしまうし望んでしまう

結局は諦めきれないのだろう

ほとんどを切り離したと思っていても

キャンバスに画用紙を貼り付けているピンを外せない